これは私が去年の夏に友達と旅行へ行ったときの写真です。
よく見るとこの隅の、木の後ろに女の人のような…




「うぎゃあああ!!!」
「どこどこ!?え、どれ!?(ばしばしっ)」
「いてて、これだろィ」
「え!?なに!?うわわわまじ『ブツンッ』

「………」

「くだらねえもん見んな」
「わーん!なんで消したのバカひじかた!!」
「副長を呼び捨てにすんじゃねえハゲ。さっさと寝ろ」
「ちょっ、テレビつけて!まだどんな女の人が写ってたのかはっきり見てない!」
「おやすみなさい」


『パチッ』


「うげ!電気消しやがった!おやすみなさいじゃねーようぜーよ!」
「待ってくだせェ土方さん(がしっ)」
「ぎゃああああああ!!!!!!」
「え!?なになに!?さがる電気つけて!」


『パチッ』


「(ガタッガタッ)」
「…なにしてるんすか土方さん」
「あ?いやべつになんでもねーよ。昨夜から煮込んでるスープの様子を見たんだよ」
「壷ん中に?」
「ああそうだいいから俺に喋りかけるな」



(全員集合)
(コソコソヒソヒソ)



「………ぎゃああああっつったよね土方さん」
「ああ言った言った」
「俺ァちょっと手ェつかんだだけだぜィ」

(チラッ)
「……なんだよ」



「プーッククククク…!」
「(こわいんだ!おばけこわいんだ!!)」

「なんだよてめェらァァァ!!変な目で見んな!あと総悟くんは暗闇で俺の手をつかまないでください!!」











深夜1:30


「ん…」




暗闇の中がむくりと体を起こす。 くああと大あくびをしてぼんやりとした目で部屋を見渡すと、 あちこちでゴロゴロと隊士が寝転がっている。 心霊番組を見て、副長の土方をいじって散々騒いだあと疲れて眠ってしまったらしい。 よくあることだな、と思って腹の上に乗った沖田の腕を(そっと)どけて、 足の上に乗った山崎の頭を(乱暴に)どけた。 そのまま立ち上がって隊士をよけながら部屋を出ようとした、そのとき。 部屋の隅で隊士に囲まれながら膝を抱えて座っているものを見つけた。




「土方さん…?」




そのものに問いかけると、それはゆっくりと顔を上げて「おう」と言った。 鬼の副長が部屋の隅で体育座りで「おう」ってなんですか。 へんなの、と思いながらじゃあおやすみなさーいと言って自分の部屋に戻ろうと廊下に出た。 ぐぐぐーっと大きく伸びをする。ふあーあ、と力の抜けたあくびをして歩き出す。 が、ついてくるものに気付いてすぐに足を止める。しかも背中にぴったりとくっついてついてくる。




「……なんなんすか土方さん」
「ちょっと厠に」
「ふうん。だったらあっちでしょ」
「いや、だから…も行くだろ」
「いかねーよ!なんで連れション!?おんなのこですけど!」
「だってお前、寝る前に厠いっとかねーとアレだろ、昔みたいに痴態をさらすことになるぜ」
「ならねーし昔だってさらしてねーよ!!人の過去捏造すんのやめてくんない!」
「よし。わかった行こう」




ぎゅっ


「……土方さん」
「あ?」

ぎゅううっ

「や、なんでもないです。よしよし」
「撫でんな」






痛いくらい強く握られた手が気持ち悪いくらい汗ばんでいたので 土方さんは一人で厠へ行くのが怖くて仕方なかったんだなあと思いました。 結局あたしは土方さんが厠から出てくるのを待ってあげて、 そのまま強く手を握られて土方さんの部屋まで行きました。 「もう戻っていいぞ」と土方さんは言ったけど、煙草の逆に火をつけてみたり、 そのライターを持つ手が小刻みに震えていたり、ちょっとおかしかったので、 「さあ一緒に寝ましょうね」なんて言って一緒に寝てあげることにしました。 土方さんは「バカかお前」なんて言ってたけど、やっぱり怖かったのか 結局大人しく寝てました。あたしは隣で寝てあげました。 結局あたしは心霊番組の続く夏の間中、土方さんの隣で寝てあげたのです!